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はじめに
この記事では、野球の防御率の計算方法。そして、防御率の計算をする上で大切な、自責点の考え方をお伝えします。
日本のプロ野球では、1シーズンで打者が本塁打王・打点王・首位打者を同時に獲得すると「三冠王」として表彰の対象になります。
それに対して、表彰の対象にはなっていないものの、一般的に投手が最多勝利、最優秀防御率、最多奪三振のタイトルをとると「投手三冠王」と称されます。
さらに、最優秀勝率を加え投手四冠、最多完封を加えて投手五冠と言うこともあります。
何れにしても最優秀防御率のタイトルは、投手にとって大きな勲章であることは間違いないようです。
果たして、防御率はどのようにして計算するのでしょうか。
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防御率とは
防御率の考え方
基本的に野球の試合は9回で行われます。防御率は、投手が9回を投げ切った(完投した)場合、自責点が何点であったのかを示す指標です。
防御率の計算方法
防御率の計算方法は、野球規則で「投手の防御率を出すには、その投手の自責点の合計に9を掛け、それを投球回数で割る。」と定められています。これを計算式で示すと
(自責点×9)÷投球回
になります。
防御率の計算方法を示したものの中には、上の計算式を展開させ、別の方法を紹介していることもあります。
しかし、正式な防御率は、上記の計算方法で算出するものとされています。
たとえば、ある試合で投手が7回を投げ、自責点が3点だったとします。
この場合の計算式は、
自責点3×9回÷7回≒3.857≒3.86
※ 防御率は、原則として小数点以下3位までを求めた上で四捨五入します。
防御率が良いとは
防御率は、数字が小さいほど成績が良いと判断されます。たとえば、防御率2.00と5.00を比較すると
防御率2.00とは、1試合(9回)を投げても、自責点2で抑えられた。
防御率5.00とは、1試合(9回)を投げたら、自責点5になってしまったということを意味しています。
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自責点の考え方とは
上の式でお示ししたとおり、防御率の計算式には自責点という項目が入っています。では、自責点とは何でしょうか。
ここでは、自責点の考え方について簡単にお伝えします。
自責点は文字の通り、投手が自ら責任を持たなければならない失点です。
たとえば、ランナーがいないとき、投手が本塁打を打たれると、味方のチームは1点を失います。
1点を失ったのは本塁打を打たれた投手の責任なので、投手は失点1とともに、自責点1が記録されます。
でも、2死3塁の場面で、投手が打者を内野フライに打ち取った場合はどうでしょうか。
野手がきちんと捕球すれば3アウトで、その回は終了します。
ところが、内野手がフライを落球して、ボールがグランドを転がっている間に、3塁走者がホームインした場合。
1点を失ったとしても、その責任は内野手にあり、投手に責任はありません。このようにエラーが絡んだ場合、失点にはなるものの自責点にはなりません。
ここで、失点と自責点という言葉が出てきました。
失点は、投手自身の責任の有無にかかわらず記録されるものですが、防御率の計算対象には含まれません。
一方、自責点は失点の中でも投手が責任を負う場合に記録されるもので、防御率の計算対象になります。
防御率は、自責点が多いほど数字(率)が悪化します。
自責点になるかならないかの判断はとても複雑です。また、場合によっては記録員が判断することもあります。
ここでは、その概略をお伝えします。
野球規則によれば、自責点は、 安打、犠飛、犠打、刺殺、四死球、暴投、ボーク、野手選択、盗塁で進塁した走者が得点したときに記録されるとあります。
一方、自責点にならないのは、失策・捕逸・打撃妨害・走塁妨害で出塁した走者、ファウルフライに対して失策があった後に安打などで出塁した走者、失策がなければアウトになったはずの走者が得点した場合とあります。
さらに、失策、捕逸、打撃妨害、走塁妨害で進塁した走者が得点した場合でも、記録員がミスがなくても得点ができたと判断したときは自責点になるとあります。
自責点の考え方については、野球規則で細かく規定されています。しかし、それでも解決できない場合は、記録員が最終的判断をしてゲームを進めることになっています。
自責点の考え方は、野球規則によってほとんどの部分が示されているものの、相当に難しい判断が求められることもあるようです。
最優秀防御率とは
投手三冠王のうち、最多勝利と最多奪三振は数の多さが決め手になります。それに対して、最優秀防御率は数ではなく率を競うものです。
たとえば、ペナントレースで1試合だけ登板し完封した投手と、30試合先発投手として登板した投手がいたとします。
1試合だけ登板した投手の防御率は0.00。
先発で30試合登板した投手の防御率が2.00だとした場合、単純に数字だけを比較すると、防御率0.00の投手の方が優れているという判断になります。
しかし、これが最優秀かというと疑問が残ります。
そこで設けられているのが規定投球回数で、野球規則で定められているのは、1軍の場合は試合数×1.0です。
2021年の1軍の試合数はセ・リーグ、パ・リーグとも143試合だったので、両リーグの規定投球回数は143イニングになります。
前述の1試合だけ登板した投手が規定投球回数になることはありません。
30試合登板した投手も規定投球回数に達していない可能性もありますが、先発投手が30試合も登板すれば、通常は規定投球回数に達しています。
この場合、30試合登板した投手は、最優秀防御率のタイトルをとる可能性があります。
さいごに
この記事では、野球の防御率の計算方法と、防御率の計算方法を理解するうえで大切な、自責点の考え方を簡単にお伝えしてきました。さらに、最優秀防御率についても触れてきました。
最近は投手の分業制が一般化したことで、多くの投手が1軍の試合に登板するようになっています。
1軍の試合に多くの投手が登板するということは、規定投球回数に達する投手が少なくなることを意味しています。
中継ぎ投手や抑えの投手の登板回数は多くなるかもしれませんが、だからと言ってこうした投手が規定投球回数をクリアすることは実際にはないと思われます。
規定投球回数を上回ることができるのは、先発である程度の成績を残した投手に限られます。
最優秀防御率は、先発投手にだけ与えられる名誉あるタイトルだと言えそうです。
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