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目次
はじめに
3月3日は桃の節句。桃の節句は女の子の健やかな成長を願う節句として知られていますが、そこで欠かせないのが雛人形です。もっとも雛人形は1年に1回だけ飾るもの。また、並べ方の案内書が入っていないこともしばしば。
毎年、雛人形は出すけれど、そのたびに並べ方で迷うことはありませんか。
そこで、この記事では雛人形の並べ方をお伝えすることにしました。
ご紹介するのは3段飾りの場合ですが、3段飾りの並べ方は2通りにまとめられることがわかりました。
雛人形の並べ方は決して難しいものではありませんし、絶対的にこうしなければいけないというようなこともないようです。
もっとも並べ方に根拠があるのも事実。雛人形の並べ方に迷っている方はぜひ参考になさってください。
また、それでも並べ方に悩む方については、最後に安心できる簡単な方法もご紹介します。
まずは、3段飾りの場合の雛人形の構成をご案内したいと思います。
雛人形3段飾りの場合の構成
上段 ⇒ 男雛(おびな)と女雛(めびな)
中段 ⇒ 三人官女(さんにんかんじょ)
下段 ⇒ 五人囃子(ごにんばやし)
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上段 男雛と女雛の並べ方
雛人形の並べ方でもっとも悩むのが、男雛と女雛の並べ方です。
2体しかないのに悩むのは、どちらが左か、どちらが右かがはっきりとしないためです。
もっとも答えは簡単。どちらも「あり」だというのが正解のようです。ただ、どちらについてもそれなりの根拠があります。
その根拠を考えたうえで左右を決めるのが、雛人形を並べる人にとっての正解かもしれません。
男雛を右・女雛を左にする根拠
男雛を向かって右、女雛を向かって左に並べるというのは昔より行われていた並べ方です。少なくとも江戸時代までは、男雛は右・女雛を左という並べ方しかありませんでした。
男雛は右・女雛を左という根拠は、いわゆる「位」の問題です。
今でも芝居などでは、向かって右を上座、向かって左を下座としていましたが、雛人形の並べ方もその考えを踏襲しています。
たとえば宮中では左大臣と右大臣という役職があり、左大臣と右大臣では左大臣の方が上位になります。
そのため左大臣と右大臣の雛人形がある場合、左大臣は向かって右、右大臣は向かって左に並べることになります。
男雛と女雛の場合、序列は男性の方が上。そのため、男雛を向かって右・女雛を向かって左に並べることになります。
※ 向かって左とは ⇒ 自分から雛人形全体を見て左手の側のこと
男雛を左・女雛を右にする根拠
男雛を左・女雛を右に並べるようになったのは明治に入ってからです。明治になると、日本の政治の中心は東京になり、諸外国の文化や習慣を積極的に取り入れるようになります。
ところが日本と西洋では並び方がまったく逆。
江戸時代までの日本は、男性は向かって右・女性は向かって左でしたが、西洋では男性は向かって左・女性は向かって右という立ち位置が一般的でした。
そのため、雛人形もそれまでの男雛が右・女雛が左という並び方が逆になり、男雛が左・女雛が右という並び方になっています。
もっとも男雛を左・女雛を右に並べるようになったのはいつからなのかについては2つの説があります。
一つは大正天皇の時代。
大正天皇が即位式で向かって左に立ったのが、男雛を左・女雛を右に並べるきっかけになったという説があります。
もう一つは昭和天皇の時代。
昭和天皇の即位式の写真が新聞に掲載されたとき、向かって左側に天皇、右側に皇后が並んでいたのをみた東京の雛人形業界がそれにならって変えたと言われています。
どちらが正しいのかは別にしても、男雛を左・女雛を右に並べるようになったのは明治時代以降であることは明らかです。
なお、男雛と女雛の並び方は2通りありますが立ち位置が変わったのはここだけ。
先ほどご紹介した左大臣や右大臣の並びは変わらず続いています。
男雛と女雛の並べ方のまとめ
男雛と女雛の並び方が変わったのは明治時代以降。政治の中心が京都から東京に変わった時代に合致しています。今でも、京都を含む日本の西側の地域では男雛を右・女雛を左という並べ方が多く、東京を中心とする東側の地域では男雛を左・女雛を右にするという並べ方が多いといわれています。
なお、男雛と女雛の後ろには金屏風を立て、両脇に雪洞(ぼんぼり)、そして男雛と女雛の間に桃の花をさした瓶子(へいし)を載せた三方飾りという並べ方は昔も今も変わりはありません。
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中段 三人官女の並べ方
三人官女は男雛や女雛とは異なり官位はなく身分も高くない女性とされています。
そのため並べ方についても厳密な決まりごとはないようです。
もっとも三人官女の中で一人が座り、二人が立っているような場合は、座っている人を真ん中に置く。
三人とも座っているような場合は、眉を剃っている人が年長と考えられるので真ん中に置く。
また、持ち物で並べ方を考える場合もあり、向かって左から銚子、真ん中が三方、右は長柄銚子を持った女性を置く。
厳密に決まっているわけではないけれど三人官女の並べ方はこのあたりが一般的なようです。
下段 五人囃子の並べ方
五人囃子も三人官女と同じように身分は高くなく、そのため並べ方についても厳密な決まりごとはないようです。ただ、五人囃子については1人だけ楽器を持たない場合と、全員が楽器を持つ場合があります。
五人囃子のうち1人だけ楽器を持たないのは能楽の演奏をするため。
4人が楽器を持ち、1人が楽器を持たず謡(うたい)を担当するという構成です。
この場合の並べ方は向かって左から、太鼓(たいこ)・大鼓(おおづつみ)・小鼓(こつづみ)・笛・謡になるのが一般的です。
また、全員が楽器を持つのは雅楽を演奏するため。
この場合の並び方は向かって左から、横笛・縦笛・火焔太鼓(かえんだいこ)・笙(しょう)・羯鼓(かっこ)になります。
その他 左近の桜・右近の橘(たちばな)
雛人形には男雛・女雛、三人官女、五人囃子の他にいろいろなものが付属しています。その代表的なのが桜と橘です。これは平安京の紫宸殿(ししんでん)に由来するもので、紫宸殿から見て左側に桜、右側に橘が植えられていたことに由来します。
桜には魔除け、橘には長寿の願いが込められているとされ、その縁起のよさから雛人形にも桜や橘がついてきます。
なお、左近の橘・右近の桜は宮中から見た左と右なので、雛人形全体を見た場合、向かって左が桜、右側が橘になります。
※ 紫宸殿とは朝廷で様々な儀式を行う場所のことです。
まとめ
この記事では、3段の場合の雛人形の並べ方をご紹介してきました。
どうやら三人官女と五人囃子の並べ方については、一般的に言われていることはあるものの厳密な決まりごとはないようです。
また男雛と女雛については、2通りの並べ方のそれぞれに意味があり、どちらが正しいのかは決められません。
したがって男雛と女雛の並べ方については正解というのはなく、どちらでも良いというのが一番正解に近い答えになりそうです。
もっともそれぞれの地域によって一般的な並べ方というのは存在しています。
たとえば引っ越して住む場所が大きく変わった、桃の節句を初めて迎えるので並べ方がわからない。
そのような場合は案外と多いのではないでしょうか。
では、そうした場合はどうしたら良いのでしょうか。
答えは簡単で専門的な知識を持つ人の並べ方を参考にすれば正しい答えはでてきます。
たとえば、お住いの近くの人形店や、デパートの陳列方法を見に行く。人形店やデパートであればその地域の並べ方を知っているはずです。
人形店やデパートに行けば、雛人形は遠めに見ても目立つので、さりげなく並べ方を確認することができます。
私も、その昔雛人形をもらったことがありますが、その雛人形のセットには並べ方の案内はついていませんでした。
またインターネットで確認しても、並べ方は地域による差違のため、確信を持つことはできませんでした。
その時、私がとった方法はデパートの特設会場で確認することで、その並べ方を目に焼き付けて家に戻り、並べた後は写真に残して翌年以降の参考にしています。
雛人形の並べ方に厳密な決まりごとはありませんが、地域の習慣になじみたいという方は、人形店やデパートなどで確認する方法をおすすめします。
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