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はじめに
この記事では、指定弁護士についてわかりやすく簡単にお伝えしていきます。指定弁護士とは、弁護士でありながらも検察官役を務める特殊な制度です。指定弁護士はどうして必要なの
事件が起きたとき、被疑者を起訴するか否やかを決定する権限は、原則的には検察官だけが有しています。しかし、検察官は大きな権限を有するだけに、起訴を恣意的に決定することはできません。検察官は、捜査資料などの膨大な情報を整理して、有罪になるという確信があったときに起訴をします。言い換えると、有罪を立証するための十分な証拠がないと判断した場合、検察官は起訴を行いません。
ただし、このことが常に正しい判断だとも言えません。そのために存在するのが、検察審査会であり、指定弁護士です。
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検察審査会とは
証拠が不十分である場合、検察官は起訴ではなく不起訴処分を行います。しかし、その判断が絶対に正しいと言い切れないこともあります。こうした場合、不起訴処分に不服のある告発者等が不服を申し立てることができますが、不服を申し立てる相手先が検察審査会です。
検察審査会は不服申し立てがあると、検察官の判断を審査します。そして、検察官の判断が不当だと判断すると、検察審査会は検察官に再捜査をして、改めて起訴・不起訴の判断をするよう求めます。
これで、検察官の判断が不起訴ではなく起訴へ変わることもありますが、そうではない場合もあります。
再捜査の結果、検察官が再度不起訴の判断をした場合、改めて検察審査会で検察官の判断が審査されることがあります。
その結果、検察審査会の決議が「やはり起訴すべきである」となると、2度も不起訴の判断をした検察官に代わり、裁判所が指定した「指定弁護士」が強制起訴を行います。
検察審査会のあらまし
★ 検察審査会は、全国の地方裁判所と主な地方裁判所支部に設置されている。(全国で165か所)
★ 検察審査会で審査をするのは、刑事事件のうち検察官が不起訴処分にした事件。(内乱罪と独占禁止法違反の罪は除く)
★ 検察審査会の人数は、1検察審査会当たり11人。
★ 検察審査員は、20歳以上で選挙権を有する国民の中から選ばれる。
★ 検察審査員の任期は6か月。
★ 起訴相当の議決は、11人中8人以上の多数が必要。
★ 検察審査会は、裁判員制度とは異なる制度。
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指定弁護士とは
指定弁護士になれるのは、司法試験に合格している民間人です。司法試験に合格している人の職務としては、検察官や裁判官があります。もっとも、検察官や裁判官は民間人ではないので、必然的に弁護士がその任にあたります。
また実際問題としては、最高裁判所と日本弁護士連合会の協議で、事件が係属する地方裁判所が管轄区域内の弁護士会に推薦を依頼すると取り決められていて、弁護士会が推薦した弁護士が指定弁護士になります。
指定弁護士が強制起訴する場合とは
指定弁護士が強制起訴するのは、次の2つの場合です。1つ目は、ここまでご紹介したとおり検察官が不起訴とした事件について、検察審査会において2度の起訴相当の議決があったとき。
2つ目は、公務員の職権濫用等について検察が不起訴とした場合に、国民から裁判所に「付審判請求」され裁判所が起訴すべきと判断したとき。
たとえば、公務員である警察官が罪を犯しても、検察官が起訴しない場合もあります。もちろん、この判断が正当な場合もありますが、この警察官の行為を告発した人などが納得せず不服申し立てを行うこともあります。(付審判制度‐ふしんぱんせいど)
このときも指定弁護士により強制起訴が行われます。
指定弁護士の権限とは
指定弁護士は、検察官に代わり強制起訴をする権限を有します。したがって、指定弁護士は検察官と同じような権限を有します。たとえば、指定弁護士は補充捜査のため、事情聴取や捜索差押の権限も有しています。ただし、検察官を補佐する検察事務官や、刑事訴訟法に基づく捜査を行う司法警察官(一般的な警察官)などに対する捜査指揮は指定弁護士ではなく検察官にあるなど、一部に例外はあります。
まとめ
この記事では、検察官役を務める指定弁護士という特殊な制度をわかりやすく簡単にご案内してきました。
実際、罪を犯した人に対して起訴を行うのは検察官です。しかし、検察官が起訴を行わなければ、それでおしまいというのでは正当性を欠き、国民の権利保護が軽視されてしまうという結果を招くことも考えられます。
それを防ぐのが、検察審査会という独立機関であり、指定弁護士です。指定弁護士は聞きなれない言葉ですが、なくてはならない制度のようです。
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