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目次
はじめに
大相撲は成績で立場が変わる階級社会です。大相撲で地位を決めるのが、1年に6回開催される本場所。
巡業は休場しても地位が上下することはありませんが、本場所は成績次第で翌場所の立場が変わります。
ところで、相撲にはケガがつきものですし病気をすることもあるので、休場する力士もでてきます。
休場そのものに罰則はありませんが、勝敗の扱いでは「負け星」になります。
たとえば、十両以上は本場所15日間で毎日1回の取組がありますが、すべて休場すると15戦全敗です。
本場所は翌場所の番付を決めるものなので、ケガや病気が良くなれば再出場して負け星を少しでも減らすことも往々にして見受けられます。
さて、大相撲は下は番付外と言われる前相撲から、上は幕内まであります。
この記事では、それぞれの地位で休場すると番付はどうなるのかを簡単にご案内していきます。
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前相撲で休場すると番付はどうなるの
大相撲の番付に記載されるのは序の口から。そのため、序の口の下の前相撲は番付外とも言われています。前相撲で取組を行うのは、新弟子検査に合格した者と序ノ口から陥落した者です。前相撲は本場所の3日目(新弟子検査合格者が多い3月場所は2日目)から行われます。
そこで3勝(3月場所は2勝)した者は勝ち抜け、翌場所は序の口に出世します。
では3勝(3月場所は2勝)できなかった場合はどうなるのかというと、番付に影響はあるものの最終的には序の口へ出世できるようになっています。
ただし、これには例外もあり前相撲を全休してしまうと序ノ口に上がることはできません。
言い換えると、休場しても全休ではなく、一度でも前相撲で相撲をとっていれば、成績にかかわらず翌場所は序の口に上がることができます。
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序の口で休場すると番付はどうなるの
序の口と序二段に定員はありません。また、序の口から幕下までは15日間の本場所の中で7つの取組が組まれます。1場所7番なので、4勝3敗で勝ち越し、3勝4敗で負け越しです。
一般的に序の口でいくら負け越しても、番付外に落ちることはありません。しかし、すべて休場して全敗となった場合は、再び前相撲からの出直しとなります。
全敗でも1回でも出場していれば序の口のまま、全休だと前相撲。前相撲だと番付表からも名前が消えてしまうので、この差は大きいと言えそうです。
では、勝ち越し・負け越しで番付表はどの程度動くのでしょうか。
十両以上の力士は1場所で15の取組があり、8勝7敗で勝ち越し、7勝8敗で負け越しです。
番付は他の力士との成績の兼ね合いで決まるものなので絶対ではありませんが、8勝7敗と1つの勝ち越しならば番付が1枚上がり、7勝8敗と1つの負け越しならば番付が1枚下がると言われてます。
しかし序の口は、力士の数が多く、1場所での取組数が少ないという特徴があります。
また、序の口と序二段に定員はなく、それぞれの地位における人数はバランスを考慮していると言われています。
例えば、序ノ口1に対して序二段3、序ノ口1に対して序二段4、目安にすぎませんが序の口と序二段は人数のバランスがあります。
こうした様々な事情から、勝ち越し1でも番付が大きく上がり、負け越し1でも番付が大きく下がることがあります。
さらに、序ノ口や序二段はケガなどによる休場力士が多くなるため、3勝4敗と1つの負け越し程度であれば番付が上がることも多いようです。
序二段で休場すると番付はどうなるの
序二段で休場した場合の状況は序の口と同様です。ただし、全休して序の口に落ちることはあっても、前相撲まで下がることはありません。
三段目で休場すると番付はどうなるの
三段目は、東西で90枚目までの180人と定員があります。1場所での取組数は7番で序の口や序二段と同じですが、三段目はその上の幕下への昇進条件が示されています。
三段目10枚目以内は、4勝以上で幕下昇進。
三段目25枚目以内は、5勝以上で幕下昇進。
三段目50枚目以内は、6勝以上で幕下昇進。
さらに7戦全勝であれば番付の上位下位に関わらず幕下昇進。
休場は黒星(負け)になりますが、三段目の上位にいれば休場しても再出場すれば幕下に上がることは可能です。
幕下で休場すると番付はどうなるの
幕下は、東西で60枚目までで定員は120人です。大相撲では、幕下の上の十両以上が関取と呼ばれ給料が支給される他、その他の待遇でも大きな差が生まれるため競争がし烈になります。
幕下から十両への昇進条件は内規で定められています。
それは、幕下15枚目以内で全勝した力士は優先的に十両に昇進させるというものです。全勝が条件なので、これを満たすためには休場は全く許されないことになります。
また、幕下5枚目以内で6勝あるいは幕下2枚目以内で5勝をあげた場合は、十両への昇進の可能性が高いと言われています。
この場合、理屈としては休場も可能ですが内規にはなってません。したがって、他の力士の状況によっては十両への昇進できないこともあります。
幕下上位の力士にとって、休場は極力避けたい状況といえそうです。
十両で休場すると番付はどうなるの
十両は東西で14枚、定員は28人です。十両からは関取として、一場所15日間で15の取組を行います。
8勝7敗で1つの勝ち越し、7勝8敗で1つの負け越し。
1つの勝ち越しで翌場所の番付が1枚上がり、1つの負け越しで番付が1枚下がると言われていますが、こちらについては他の力士の成績にも左右されるため絶対とは言えません。
十両まで昇進した力士は実力者ぞろいで、人数が少ないため取り組みも熾烈。十両には全勝が少ないと言われているのも一つの表れと言えそうです。
十両は上位で勝ち越せば翌場所の入幕が見えてきます。一方、下位で負け越せば幕下陥落の可能性もあります。
何れにしても翌場所の待遇に大きな違いが生まれるのは確かなことで、この位置にいる力士にとって黒星扱いされる休場はその後の生活に大きな影響を及ぼします。
幕内で休場すると番付はどうなるの
幕内の定員は42名、十両と同じく一場所15日間で15の取組を行います。幕内には十両以下と異なり、幕内独自の階級があります。下からご紹介すると、前頭・小結・関脇・大関・横綱です。
この階級によって休場した場合の取り扱いも異なります。
前頭から関脇まで
前頭から関脇までは十両と同じ考え方をします。8勝7敗で1つの勝ち越し、7勝8敗で1つの負け越し。
1つの勝ち越しで翌場所の番付が1枚上がり、1つの負けことで番付が下がると言われていますが、他の力士の成績にも左右されるため絶対とは言えません。
幕内下位で負け越すと、翌場所は十両に転落する可能性があります。十両も関取ですが、給与や待遇などで幕内力士より劣る部分がでてきます。
幕内下位の力士にとって、黒星扱いされる休場はその後の生活に大きな影響を及ぼします。
大関で休場すると番付はどうなるの
大関は負け越しても即座に陥落することはありません。負け越した大関は、翌場所カド番を迎えます。カド番の場所で勝ち越せばそのまま大関の地位を維持します。
カド番の場所で負け越すと大関を陥落して関脇になりますが、関脇になった場所で10勝以上あげれば大関に復帰することができます。
大関の場合、時として休場は大きな意味を持つことがあります。
たとえば本場所を迎えた大関が、体調不良で初日から8敗して早くも負け越しをした場合などです。
この大関が9日目から全勝しても最終成績は7勝8敗。9日目から最後まで休場すると全敗になります。
しかし、7勝8敗も全敗も負け越しなので、翌場所はカド番です。
ケガや体調不良ならば無理をせず9日目から休場し、体調を万全にしたうえで翌場所勝ち越せば大関の地位を維持することができます。
関脇以下だと休場は単なる黒星扱いで翌場所の地位を下げることになりますが、大関の場合は休場して結果的に負け越しても翌場所に挽回するチャンスがあります。
横綱で休場すると番付はどうなるの
現在、大相撲の最高位は横綱で、横綱には大関以上の特権があります。まず横綱は成績の如何に関わらず、その地位から滑り落ちることはありません。つまり何場所休場しても、横綱のままでいることができます。
もっとも横綱の先にあるのは引退です。
何場所休場をしても横綱の地位は保たれるとはいえ、そうした力士には引退の2文字が目前に現れてきます。
大関や横綱は休場してもそれなりの特権はありますが、それは責任ある地位にいるから。その地位を保つことができない場合は、他の力士よりも厳しい現実が待っているようです。
さいごに
この記事では前相撲から幕内まで、それぞれの地位で休場すると番付はどうなるのかを簡単にご案内してきました。ところで大相撲の本場所では2003年11月場所まで公傷制度がありました。
公傷制度は本場所の取組での怪我による休場の場合、一定期間、その地位を保つことを認めるというもので、陥落がない横綱を除く力士に適用されていました。
しかし、軽いけがでも公傷制度を利用する力士が出てきたということで、公傷制度は廃止され現在に至ります。
今は理由を問わず休場は黒星とし、翌場所の立場を決めています。
休場を悪用する力士はいなくなったものの、今度はケガをしても無理に出場し、かえって力士寿命を縮めてしまう力士が出てきているという批判もあります。
そのため、形を変えて公傷制度を復活させようという意見もあるようで、公傷制度が復活すれば休場に対する考え方も変わってくる可能性もあります。
※ ここでご紹介したのは、この記事を書いている時点での情報です。今後、内容が変わることもありますがご了承ください。
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